どーも、オオナムジです。
「魔眼の匣の殺人」。読んでみました。
まず「匣」が何と読むかわからない。これは「ハコ」と読むそうです。意味合い的には箱と尾内示だと思います。氏の前作「屍人荘の殺人」ですっかりファンになった私は第二作目である本作も軽快に読み進められました。
前作は「ゾンビ×クローズドサークル」という設定でしたが、今作は「予言×クローズドサークル」という設定です。
だいたいのあらすじ(ネタバレなし)
主人公の葉村くんと剣崎さんは、ゾンビ事件を引き起こした班目機関を探っていたところ、オカルト雑誌「月間アトランティス」にM機関なる記事を発見。
どうやら読者から寄せられた投稿で、次々に事件を予言して的中させているとのこと。
班目機関の匂いを感じた葉村・剣崎は、独自のルートで場所を突き止め、突撃してみる。
するとそこには、未来を予知できる超能力者とその超能力の研究施設「魔眼の匣」があり、色々あってほかの数名とその箱に閉じ込められてしまう。
そして、そこで聞かされた予言は「あと2日間で4名が死ぬ」というもの。
感想(ネタバレあり)
はい。ここからはネタバレありのコーナーです。
これから読もうとしている方は、読んだ後に来てください。
さてさて、前作のゾンビに続いて今作は予言ですか。なかなか現実離れした設定がお好きな作者のようです。
全体のストーリーを振り返ってみると、、、
・臼井が死んだことにビビる王寺
・十色の予知能力を確信した王寺(サキミ毒殺)
・毒殺したのは朱鷺野だと思う王寺(ネイルチップが落ちていた)
・王寺は脅迫者を恐れ、十色の存在を恐怖に思う
・朱鷺野を脅迫し、共犯をもちかける王寺
・朱鷺野は逆に王寺を脅迫し、二人は共犯関係に
・王寺が十色を殺す
・剣崎が死んだことにより、朱鷺野は安全ゾーンに
・朱鷺野は共犯解消を王寺に持ち掛け、王寺は朱鷺野を失神させてしまう(のちに死亡)
・脅迫者はサキミ(岡町)だった。
共犯の部分なんかはなかなか無理がありそうですが、”脅迫者”の存在、剣崎の偽装死亡などが絡み合うと、あり得なくもない、と思わせる点、作者の練りに練ったストーリー構想がうかがえます。
そして4人全てが、人によって殺されるのではない点が、他のミステリ作品との差であり、本作の面白い点ですね。臼井なんかは普通に地震で死んでしまうし、茎沢も発狂したままクマに殺されてしまう。
予言が確かに存在することが大前提にあって、その予言の中で殺人が繰り広げられていくので、ミステリ作品なのかオカルト作品なのかよくわからなくなってしまいます(笑)
いずれにせよ、読んでいて非常に楽しい作品であることは間違いないです。
ラストの文章から続編が書かれることは確定なので、気長に待ちたいと思います。